【TOKO CLUB EVENTS】由良りえこ展 ギャラリートークを開催しました。

2024年3月23日に「由良りえこ展 ギャラリートーク」を開催いたしました。
ギャラリートークの内容の一部をご紹介いたします。

 

由良りえこ展 ギャラリートーク

球から角へ

塚本
由良さんの展覧会を前回陶庫でやって頂いたのは2011年でした。その頃と表現も少し変わっていますね。
由良さんの作品は球体から角に変わっていったんですよね。

由良
そうなんです一番最初のイメージができたのは河原できれいな形の石を見つけて、その石をとったら丸くきれいにへこんで、それが面白いなという感覚が頭の何処かにあったんですよね。

初期の頃は、玉をろくろで引いて、つなぎ合わせたりしました。
球体がなぜ続けられなかったかというと、制約がすごく多かったことです。
点と点がくっつけられないので、想う形ができなくなっていったことが、球体を続けられなかった理由です。
球体も作り続けていたのですが、作品まで至らず、水の化石というシリーズと並行しながら作品づくりをしていました。

あるときに、球ではなく、四角で組み合わせれば、軽くできるし、形が自由になることから四角になっていきます。

塚本
前回陶庫で展覧会を開催した際の作品は「水の化石」でした。これはどうやって作っているのですか



由良
水の化石は技術的には簡単なんです。ろくろでうつわの形を引いて、ひたすらくり抜いていく。できるだけ穴を大きくすることを目指していましたが、攻めすぎてこわれるという(笑)

土は磁器ではなく、半磁器でやっています。
照明が当たることで、影が作品の一部になっていって、作品そのものと空間も一緒に、関係性をもたせることに面白さを感じています。

塚本
日陶展や益子陶芸展などに出品されている作品の名前が自遊な箱ですよね。
まさに自ら遊ぶという表現だと思います。

由良
名前はよく褒めて頂けるんです。審査員の方が外国人の方だったんですけど、その方にも面白いと言って頂きました。

塚本
いままでの展覧会では赤のベンガラが基調色でしたが、最近は青の呉須を使われていますよね。

由良
元々呉須は好きなんです。自分で呉須を調合してテストしたところ、自分の作品のイメージに近い発色になったので、呉須で作品を作っています。やっぱり釉薬の発色がうまくいかなければ、作品のイメージと変わってきてしまいますね。



塚本
作品は作る段階でどのくらいイメージしているんですか?

由良
大体はイメージがあるんですけれど、粘土を触りながら手で考えるといいますか。作りながらああでもない、こうでもないを繰り返しています。大体はイメージがあるんですけど、それ通りにはならないですね。

塚本
絵付けも同じですか?

由良
絵付けは特にそうですね。絵付けする前にスケッチをするのですが、ある程度、続けて数を書かないと手が慣れなくて、いい表情になりにくいです。
植物が多いですけど、写生をよく行っていたので、そのイメージを陶器に落とし込んでいます。



塚本
由良さんは京都芸大の日本画専攻のご出身ですよね。焼物に転向したきっかけはなんですか?

由良
学生時代から陶芸や織物は好きでしたが、日本画専攻であったので日本画をやっていました。
ただ、陶芸の教室にはよく覗きにいっておもしろいなあと思っていました。つくばに拠点を移した際に筑波大学に公開講座で陶芸があり、そこで陶芸にハマってしまった。
頭の中に日本画はこうでなければという制約が自然とできてしまっていましたが、陶芸は制約がないことが、楽しくて。陶芸は自己流です


由良
今回の展示では、焼物の背景に和紙に墨で書いた絵を置いています。
空間ごと作品として楽しんでいただければ幸いです。これを飾ろうと思って書いたわけではなく、まずは絵でイメージを膨らませて、そこに焼物を並べていきました。単純な絵ですが、墨の色がうまく出なくて、何度も書き直しました。



塚本
インスタレーションの表現ということですね。影のように見えますよね。

由良
そこもイメージしています。墨の色がこすぎると全然面白くなくて。濃すぎると陶器も負けてしまうので濃さが難しかったですね。
電気の影と墨の影を意識しました。

塚本
一般的には窯元で修行をした作家さんなども多い中で、窮屈とは言いませんが、由良さんの作品づくりは自由だなと感じています。
陶芸から始まってしまっている人は焼物では無理だということで表現を諦めてしまうことも少ないと思います。
知識が邪魔をしてしまうケースもありますから。

これからの作品づくりを楽しみにしています。

由良
ありがとうございました。

由良りえこ 陶歴

               京都市立芸術大学日本画家卒業
1993年 女流陶芸展 毎日放送賞
1995年 女流陶芸展 毎日新聞社賞
1999年 朝日陶芸展 奨励賞
2000年 益子陶芸展 審査員特別賞
2000~2004年 筑波大学公開講座講師
2001年 日本陶芸展 朝日陶芸展
2002年 益子陶芸展
2003年 日本陶芸展
2004年 益子陶芸展
     自立する陶のかたち(茨城陶芸美術館)
2005年 日本陶芸展
2006年 かたちの行方(茨城陶芸美術館)
2008年 change Color (茨城陶芸美術館)
2009年 反復するかたち(茨城陶芸美術館)
2010年 笠間焼ルーツと展開(茨城陶芸美術館)
2011年 第9回際陶磁器展美濃
2017年 日本陶芸展 優秀作品賞
     第11回 国際陶磁器展美濃  審査員特別賞
     菊池ビエンナーレ展
2019年 日本陶芸展 
2021年 笠間陶芸大賞展 第12回国際陶磁展美
2022年 常陽藝文センター作品展


陶庫

〒321-4218

栃木県芳賀郡益子町城内坂2

TEL:0285-72-2081

E-mail:toko@mashiko.com

営業時間

 夏季(3月〜10月)10:00~18:00

 冬季(11月〜2月)10:00〜17:00

定休日:年末年始

駐車場:店舗併設(7台)

行き方